音が消えていく
30代の頃、仕事が忙しくて、人間関係も大変で辛かった。
辞めたくても、おひとり様で生活をしていく為には
辞める選択肢は思い浮かばなかった。
それはもう、精神を病んでいたんだと思う。
誰にも言えずに、一生懸命働いていた。
時々、言葉を聞き間違えたり、呼ばれても一度では気づかず、
仕事に集中してしまうタイプだから気付かないのかな?
くらいにしか思っていなかった。
ある日、健康診断の聴力検査の途中で、看護婦さんが
検査室のBOXドアを開けてきて、焦った様子で「大丈夫ですか?」と聞いてきた。
すると、高い音が聞こえていなかった。
平然を装っていたが衝撃を受けた。あの時の光景を今でも覚えている。
それが毎年毎年、少しずつ少しずつ聞こえる音が減ってきて
当然、生活にも不便なことが増えてくるようになる・・・(つづく)