英語が聞き取れなくなる
30歳を前に、ワーキングホリデーで1年程、カナダに住んでいたことがある。
海外に住んでみたい、英語が話せるようになりたい。
今しかないと、思い切って1人で海外へ飛び出してみた。
もともと耳は良い方だったのだと思う。
hearing, speaking, writing の中でも、聞くことが一番得意だった。
海外に住めば英語がペラペラになるというのは大きな誤解。
努力しなければ何年住んでも喋れないし、海外で生活しなくても
喋れるようになる人もいる。
私は英語ペラペラではなかったが、多分、発音がそれなりに
真似できて話せるように聞こえたらしい。
昔は洋画ばかりよく観ていたが、それも英語を勉強したかったから。
映画館に行ったり、週末は纏めて3~5本とかビデオを借りてきては
家でもよく観ていた。
今よりも、ハリウッドスターもアカデミー賞も、もっと注目度が
高かったような気がする。
カナダから帰ってきても勉強を続けて、英検2級を取得した。
しかし、2次面接を受ける時に、ふと聞こえにくい感触があった。
緊張のせいかと思っていたけど、静かなところで勉強していた
ある日、微かに小さな耳鳴りを感じた。
それから何年か経ち、久しぶりに外国人と話す機会があったが
今までとは違う、英語が理解できない感覚に襲われた。
日本語より先に、英語の方が聞き取れなくなるのが早かったのだ。
英語が話せるようになって旅行など、外国人との交流で通じた時の
「喜び」「楽しみ」「希望」みたいなものを見失った。
それから、だんだんと英語から離れていった。